先週の2つの発表(SenchaとSencha Touch)の件について
2010/06/21 by yuki
先週2つのプレスリリース(こちらとこちら)を立て続けに発表したのですが、どちらも米国のリリースを翻訳したものなので(訳が下手なせいか、表現が過剰あるいは抽象的なせいか)残念ながらいまいち内容がうまく伝わってないようなので、説明のエントリーを書いておこうと思います:
Senchaへの社名変更
2006年にYUIの拡張版、yui-extとして始まったプロジェクトが、その後Ext JSと名称変更をして、その後会社組織にした際に社名もExt JS, LLCとしてしまいました。その後、GWTの拡張ライブラリであるExt GWTや、Ext Core、そして今年リリースされたExt Designerなど製品が増えていくにつれて、会社名がその製品の1つであるExt JSと同じということがいろいろと不都合になってきたみたいです(例えば、Ext GWTを紹介するときに、「Ext JSのExt GWT」みたいに、知らない人が聞いたら混乱するような状況だったり)。
そこで、jQTouchとRaphaëlとの合流、そして後述のSencha Touchの発表のタイミングで社名変更を行ったということです。ちなみに、Senchaは日本語の煎茶のことです。。。
Ext JSとその他の製品について
Senchaへの名称に変更に伴い、Ext JSはSencha JSになるのかといった質問もありましたが、Ext JSはExt JS、その他の既存製品についても同様です(正式名称は「Sencha Ext JS」とはなりますが)。また、APIの仕様についても、これまで通りExtの名前空間のままです(Sencha TouchでもExtのままです)。
jQTouchとRaphaël
プレスリリースのタイトルから、jQTouchとRaphaëlがExt JSに取り込まれる、といったことを心配する発言も見受けられましたが、jQTouchとRaphaëlは今後も個別の独立したプロジェクトとして、またMITライセンスで引き続き提供されることになっています。
今回の合流のポイントとしては、
- jQTouchとRaphaëlを立ち上げたDavidとDmitryがSenchaの開発メンバーとして加わった
- jQTouchとRaphaëlはSencha Labsの元で専任の開発者が継続して開発を行っていく
ということです。特にDavidとDmitryの参画によりSencha Touchの開発が一気に加速して、当初、秋頃を予定していたリリースが一気にこのタイミングまで短縮されました。
Sencha Touch
Sencha Touchについてはリリースの中で「モバイル端末用HTML5アプリケーションフレームワーク」と何かよく分からない表現になっていますが、要は「iPhone/iPad/Androidのブラウザ向けExt JS」ということです。Sencha TouchのAPIドキュメントを見れば一目瞭然ですが、ほぼExt JSそのもです。
ただし、Ext JSと大きく異なるのは、Sencha TouchではHTML5/CSS3の機能を多用しているということです。動画、グラフィックス、オフラインストレージ機能といったHTML5絡みの機能も大きいのですが、個人的にはCSS3をフルに活用することによって、Ext JSで大量に使われていたUI用の画像ファイルをほぼゼロにしてしまった、ということがとても大きいことだと思います(あと、Sencha TouchのCSSはSASSで書かれていますので、変更も容易になっています)。そしてもちろんExt JSではサポートされていないタッチ関連のイベントもしっかりと組み込まれています。
Ext JSではHTML5/CSS3などに対応していない古いブラウザも引き続きサポートする必要があるため、次の4.0においてもHTML5/CSS3に全面的に移行するわけにはいかないのですが、ほぼWebKitで統一されているスマートフォン/タブレット端末向けにはSencha Touchのように思い切ったことが可能でした。
Sencha Touchの狙い
iPhone4の発表があったWWDCの会場前で「End of Native」のプラカードを持って怪しげな格好をしたり、endofnative.comといったサイトを立ち上げたり、少々挑発的なマーケティングを開始していますが、Sencha Touchが狙っているのはExt JSと同様に「ネイティブアプリケーション並の使用感を持つWebアプリケーション」をiPhone/iPad/Android等の端末で実現することです。JavaScript/HTML5/CSS3で開発できる開発チームさえあれば、Sencha Touchを使ってあらゆるスマートフォン端末向けにネイティブアプリに匹敵するWebアプリを提供することができる、ということを目指しています。
本当にEnd of Nativeが来るかはまだ分かりませんが、既に過当競争気味のネイティブアプリケーション市場と違って市場もまだ小さいですが、まだまだこれからのこの分野、2〜3年後にはどうなっているか分かりませんよね?
Sencha Touchのライセンス
Sencha Touchは現在ベータ版ということでGPLv3でのみの提供ですが、正式リリース後はExt JSと同様のデュアルライセンスということになる予定です。残念ながらExt JSとは別個の製品となるため、Ext JSの商用ライセンスをお持ちの方でもSencha Touchのライセンスを別個にお求めいただくことになります(割引等はあるかもしれませんが、現在のところ全く未定です)。
7月の勉強会
6月の勉強会は、こういった発表準備もあったためお休みにしましたが、7月は開催します(7/28予定)。もちろんメイントピックはSencha Touchの予定です!


Posted on June 22nd, 2010 at 5:16 pm
[...] それと、前回のブログエントリで書き忘れていたのですが、Sencha Touchを学ぶ為にはJavaScript/HTML/CSSの知識は必要ですが、必ずしもExt JSを知っている必要はありません。もちろんExt JSを知っている方が学習にかかる時間は短くなりますが、いきなりSencha Touchから入っても全然問題ありませんので、これまでExt JSを敬遠していた方も、これを機会にSencha TouchでiPhone/iPad/Android向けWebアプリを開発してみませんか? [...]